一揆生芝居(らいぶ)vol.6 「感動空間」づくり

技術スタッフこそ「技術」ではなく「想い」

2004.7.9 Tora

10周年公演「この道の果て」と7月ライブに向けて

 装置(大道具)、小道具、衣装メイク、音響、照明、これが技術部門です。
 技術的にどう応えるのか…まだまだ技術的には未熟な自分がどう応えるのか?  そんなことばかり考えてきたのではないだろうか。
 今まで、舞台に必要なものをなんとか揃える、「失敗しないよう、失敗しないように」と思っていました。 「技術スタッフを楽しんでいますか」って聞かれたら「とても…とても、アップアップです」と思っていました。
 しかし、この間の議論で技術部門は変わってきています。
 まだ上手く整理されてきていないけれど、大事な問いかけは、「お客さんをいかに感動させるか?そこに喜びと楽しみを感じれるか」と言うことでした。
 「技術をそつなくこなすのが目的でなく、失敗してもいいじゃない、お客さんを感動させたい、その想いの中で、泣いたり笑ったり泥まみれになって芝居づくりに参加していく」そこに自己実現と自己成長を具現化させていくと言うことではないのか。
 「いわゆる“格好いい舞台”づくりをしよう」だとか、「優等生的に技術や課題をこなそう」だとかを自己目的にすれば、技術スタッフの仕事は、一見クリエイティブに見えても、実は奴隷労働に転化していっている。
 技術スタッフこそが、お客さんを感動させるために「不器用でも真剣な仲間達(一揆魂)」にならなければならないと言うことでした。
 この間議論したのは、お客さんを感動させるという目線で見れば、技術スタッフの仕事を舞台の上だけに狭く限定する誤りを持っているのではないかと言うことでした。少し長くなりますが、技術ミーティングへの技マネからの討論素材を載せます。
………………
 お客さんにとっては、(1)舞台の上だけでなく、(2)客席含めた稽古場(劇場)内すべて、(3)玄関から入った建物内(4)そして稽古場へ向かう道すがら(すなわち地域)、 (1)〜(4)までの空間すべてが、一揆の芝居を観、味わい、感動し、共感するために設け られた空間ではないのか?
 想像してみよう、平和駅をおりる。「一揆公演会場はこちら」の看板がでている。お客さんは、少し嬉しくなる。
 北郷通りにでると、「劇団一揆」と書いた提灯が通りに吊してある。お客さんは益々嬉しくなり、ワクワクしだす。
 玄関の前には 、 ホッとする看板が掲げてあり、あまり男前ではないが、若い青年が(時には中高年)「いらっしゃいませ」と笑顔で迎える。駐車場の案内もしているみたいだ。
 一歩中に入ると、もう、芝居の雰囲気を醸し出す。音楽が流れ、照明が階段にあてられ、受付 の人たちの笑顔も素敵だが、おそろいの衣装も素敵だ。劇場内にはいると、客席も贅 沢ではないが、色々配慮がされている。
…長くなるので、ここら辺で。

 お客さんにとっての芝居空間は、舞台の上だけではなく、劇団一揆エリア((1)舞台(2)稽古場(3)建物内(4)地域)の全てが芝居空間なんだ。
 だったら、技術スタッフは、その空間すべてに贅沢に、果敢に、チャレンジしよう。と言うことでした。
 そうした目線で考えれば、電柱看板も、立て看板も、電話の移設も、時計あわせも、掃除も、換気も、受付の衣装も、もうもう色々な仕事がでてくるのでないか。…
 もっと夢をふくらませて、地域で「劇団一揆まつり」をおこなったときは、技術スタッフで、地域まるごとの空間づくりをおこなうことになる。技術スタッフに劣って、仕事はやたら増えるが、夢はいっぱいだ。
 名付けて「ハード面における感動空間づくり」だ。
…………………
 この議論を通じて、私(トラ)も含めて、技術スタッフの目がきらりと輝いてきていると思います。お客さんに喜んでもらう。感動してもらう。そのために考えること、提案すること、やるべきことが、もう・もういっぱいある。真剣にない知恵を 絞って、時間のやりくりをして、元気に、楽しく、主体的に動き出している。
 7月ライブ、10周年公演を感動のるつぼとするぞと、技術部門は燃えています 。

一揆生芝居vol.5舞台より
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