「かわいそうな ぞう」舞台写真&ストーリー
※写真をクリックすると、新しいウィンドウで大きい写真が見れます。「おはよう!トンキー、ワンリー、ジョン。」 ゾウの飼育員のおじさんが声をかける。 |
かつてゾウの飼育員として働いていた老人が、 上野動物園にあった過去を語り始める。 |
「この動物園にいる全ての猛獣を殺処分せよ。」と、政府から通達が来た事を、
園長から伝えられる。
日本は戦争の真っ只中。 空襲を受け、動物が逃げ出す事を 防ぐためであった。 |
ゾウたちは美味しそうにエサを食べている。一人胸を痛めるおじさん。
エサのリンゴに毒を混ぜて与えた。 眠るように死んでくれれば、と願うおじさん。 しかし・・・ 「ジョン、お前・・毒が分かるのか?」 | ||
それは、エサをやらないこと。
ジョンはみるみる痩せ細っていく。
檻からはジョンの悲しげな鳴き声が聞こえる。 |
「ジョン・・・すまん・・・。」
「・・・よし、わかった!」
二頭を助けられる事を喜ぶ飼育員達。 「いやあ、良かった。良かったなあ!」 |
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そこに一人の飼育員が現れ、声を上げる。 「良かったな。ゾウは助かって、 こっちはもう何頭も殺したけどさ。」 |
しかし、悪い事が起きる。仙台の街にも空襲が来た、という知らせが届いたのだ。
これで、残った二頭のゾウを仙台に連れていく、という事は出来なくなった。
追い打ちをかけるように、国から「ゾウを早く殺せ」と命令が下る。
・・・頼む、もうどうか、何もしないでくれ・・・!」
その様子を見たおじさんも無我夢中でエサをゾウに食べさせた。
「食え、食え!早く!トンキー、ワンリー!」
「いいんだ、これでいいんだ!こんな・・むごいこと、あっていいもんか!」
一度だけ与えたエサでなんとしても生き延びてほしい。
しかし戦争は皮肉にも激しくなり、国の命令に従うしかなくなる。
「トンキー、一人ぼっちになって寂しいだろうな。 せめて、ここにいるからな。」 |
そこに人間の姿をしたトンキーが現れる。
ゾウたちの故郷タイの話、初めて動物園に来た時の事を、
おじさんとトンキーが楽しそうに話す。
「おじさん・・ありがとう。 私をおじさんの子供みたいに可愛がってくれて。」 |
この風に乗ってタイに帰れたら・・・。」 「ばんざーい!」 「ばんざーい!」 |
辺りを見回すと、死んでしまったトンキーが横たわっている。 「トンキー・・・。お前、万歳をしたまま・・・。」 |
「・・やめろ。やめてくれ。 戦争をやめてくれ・・・!!」 |
「トンキーは最後に、檻に鼻をかけ、万歳の芸当をしたまま死んでいました。
戦争が終わった時、動物たちをあんな目に遭わせたくないと、
お墓を立てました。動物園が動物を殺す事はあってはならない。
このお話が多くの人の心に残り、二度とあんな事が起きませんように・・・。」
参考文献 ・金の星社 おはなしノンフィクション絵本 「かわいそうな ぞう」より
・本山節弥脚本 「そして、トンキーも死んだ」
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