『ブンナよ、木からおりてこい』 舞台写真&ストーリー
原作/水上勉 脚本/小松幹生 潤色/橋田志乃舞
人間の子どもに捕らえられ水槽に閉じ込められた、トノサマガエルのブンナ。
ブンナが思い出すのは、他のカエルたちと暮らしていたお寺の沼での生活。
皆が遊んでいたところへ現れたのは蛇。一匹の親ガエルを連れ去ってしまう。
泣き叫ぶ子ガエル。
しかし、弱者であるカエルたちに、助ける術はない―。
躍り出てきた一匹の赤トンボ。
カエルたちは食べようと飛びつくが、ヒラリと逃げられてしまう。
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空が飛びたいというブンナに、椎の木に登るよう焚き付ける一匹の子ガエル。
好奇心に駆られたブンナは、見事に登り切る。
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木の上の自慢話をするブンナ。
二匹のカエルがうらやむ一方で、反発する一匹のカエル。
ブンナはまた木に登ると言うが、そこには恐ろしいトンビが来るらしい―。
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水槽の中。子ガエルたちと老ガエルも捕らえられる。脱出を試みるも、失敗。
老ガエルに促され、ブンナは木の上での出来事を話し始める。
再び椎の木の上。ブンナが登るとそこにいたのは二羽のスズメ。
空を飛びたいと話すブンナに対し、地べたの生活をうらやむスズメたち。
―やがて夜になり、ミミズクが優しく天気を報せる。
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朝。トンビに捕まえられた生き餌が椎の木の上に落とされる。
羽根を折られたスズメと、クチバシを折られたモズ。
ここは、危険なトンビの餌の中継所だったのだ。
スズメは自分の身代わりに、土の中に隠れているブンナを掘り出そうとする。
モズはそれを止めるが、再びトンビが飛来すると必死に命乞いをする。
しかしそれも空しくモズは連れ去られてしまう。
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水槽の中のカエルたち。実験のため二日後には全員殺されることを知る。
焦るカエルたちに、ブンナは話の続きを聞かせる。
次に椎の木に落とされたのは、あばらを折られたねずみ。
スズメはねずみにブンナを掘り出させようとする。
他の命を犠牲にして生き残ろうとするスズメを非難するねずみ。
しかしトンビの姿が見えると、ねずみはスズメをトンビに差し出して生き延びる。
月の夜、ねずみはブンナに教えられて木から下りようとする。
しかし再びトンビに捕まり餌場に戻されてしまう。
そこへトンビに連れて来られたのは、口を裂かれた蛇。
力をつけて木から下りるために、蛇はねずみを食べようとする。
ねずみはとっさに、土の中にカエルがいることを言ってしまう。
ブンナを食べようとする蛇。
ねずみは蛇に掘りだされたブンナを守り、死闘の末に蛇を木から突き落とす。
瀕死の傷を負ったねずみは、自らの命をブンナに託して死んでゆく。
ねずみの体から生まれ舞い飛ぶ蛾や蝶を食べ、ブンナは生き残る。
ねずみの死後、ブンナは椎の木の上で冬眠し、下りてきたところを人間の子どもに捕まったのだ。
話し終えた時、人間の子どもに老ガエルが連れて行かれてしまう。
残された子ガエルたち、水槽に放り込まれた飯粒をブンナ一人に食べさせる。
力をつけたブンナはガラスの壁を乗り越え脱出し、石でガラスを割って仲間を助け出す。
自分が生きるために死んでいった命への感謝を、
今、生きていられる喜びを、
全身で感じながら―。