『遊戯病棟』公演写真&ストーリー

■とある市役所に勤める田畑俊介は、みんなにチヤホヤされ、今日もさっそうと出勤。
彼はこの日、課長からある仕事を依頼される。それは劇場「山ねこ座」の民間委託に反対する劇団「遊戯病棟」に、反対運動をやめるよう説得するというものだった。そこはテロリストのような集団だと課長は言うが…。


「キャー!田畑さんよ〜!」
「田畑さ〜ん、今度の週末あいてる?」

「ハ〜イ田畑ちゃん、今朝もゆかりちゃんとご機嫌だねえ!」

「みんなの劇場『山ねこ座』をなくさないで下さい」
「よろしくお願いしまーす!」
「役人は敵だ!」
「ひえ〜、お助け〜!」

■いやいやながらも山ねこ座にやってきた田畑の前に、謎の男が現れ、一緒に劇団を視察することに。ところが、出てきたのは課長そっくりなオヤッサン、生意気な小学生さつき、逃げ出した制作チーフ良子…。なんとか本題にこぎつけたものの、話し相手の良子は岩のように固まってしまう。



「行きたくないんだろ」
「えっ?」
「でも仕事だからしょうがな〜い」
「だ、誰だ!?」


「えーと、山ねこ座の経営難を救う基金を募るためのチャリティーショーについて、市に許可を申請していらっしゃいますよね?」
「…」
「良子!制作チーフのあんたが話してくれないと、わたしら公演できなくなっちゃうよ!」


■翌日、疲れ顔で出勤した田畑の前に現れたのは、仮面をつけた人々!?
なんと田畑は突然、周囲の人間の顔が見えなくなってしまったのだ。
困り果てた田畑は、さらに同僚の加藤から思わぬ事実を知らされる。



「うわー!あ、あんたら、誰だ?」
「どうしたの?熱でもあるの?」
「いやん、可哀相!私と一緒に休まない?」


「ひでえ話だよな…
課長の天下りの手伝いなんてよ」


「なんで、みんなヘンな顔してるのに、あんただけ普通なんだ?」
「普通って?」

「…お前、一体、誰なんだ?」
「誰だと思う?」


■再び山ねこ座にやって来た田畑が見たものは、昨日と変わらぬ良子の姿…?
ひょんなことから劇団の公演に参加することになってしまった田畑は、徐々に彼らの本当の気持ちを知ることになる。



「田畑さん!見て!」
「…何も変わってないように見えるんですけど」
「一見そう見えるけど、違うんです。来てるんですよ、自分から!」
「はあ…」


「良子、あんた言いたいことがあってここにいるんじゃないの?
自分で思ってることは、自分でしか伝えられないんだからさ」

「私らは良子さんのこと何もできないなんて思ってない、やればできると思ってるから待ってるのに!

…信じさせてんの、自分じゃん」

■役所と劇団との間で、田畑の気持ちが揺れ始める。そして自分の本音に気づき始めるが…。



「みんな本音を隠していて、みんなムリして生きている」
「そんなの当たり前だろ?」
「なぜ当たり前なのか考えたことがあるのか?」
「…当り前だと思っていたから、考えたこともない…」

「それは、談合なんですか?
課長!」
「どうして言わなかったんだよ!こんなことはイヤだって!」
「…」

「…信じてたのに…!」

■ずっと心配していた加藤に、田畑は初めて本音をぶつける。

「お前も、他のヤツも、もう誰もなくしたくないんだよ!
それだけだ」

「…田畑。
お前が課長とどうなろうと、オレ、味方だから」

■何日も稽古しながら良子が話してくれるのを待っていた田畑。
その姿を見て、ついに良子が口を開く。
そして―。



「ここを…
ここを失くしたくない!

失くしたくないだけなんです!
みんなの場所だから…!」
「オレ、わかったんだ。
あんたが一体誰なのか。
あんたは、オレだ」

「…やっと認めたか。
オレはお前のカゲだって」


「…いつか、役所の連中も、あそこで一緒に笑えたらいいな」







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