『この道の果て』公演写真&ストーリー

〜二つのストーリーが平行して進みます〜
↓             ↓
■なぞの集団が、「雨ニモ負ケズ!」と叫びながら厳しい訓練をしている。訓練中、腕を痛めた男、工藤は教官から叱りを受ける。 □一方、ここは北海道の農家。東京からやってきた梨奈は、明るく接してくる農家の人々と同じに働けない自分を情けなく思う。
■隊員の一人である原田がいじめられ発狂し、隊長である山本に銃を突きつける。 □体調を崩して寝ている梨奈に、花を摘んできた子どもたち。梨奈はそれを見て、ふと心を和ませる。


■教官「お前は、実に如才のない奴だ。
…スパイとして、優秀だ」
嶋田「は?」
緊密な上司と部下であった2人は、実は互いに腹を探り合う関係にいた…。
□作業を終え、帰ってきた農家の母と嫁、早苗。梨奈を労わる2人の優しさに、「私は欠陥人間なんです!」と告白する梨奈。母は優しく、「嫌なことはみんなここへ置いていきな」と言った。
■教官は、工藤に本土爆撃命令を下す。しかし、それは教官が作った偽の書類だった。止めようとした嶋田に教官は、嶋田がスパイであることを知っていると告げる。 □しだいに作業にも慣れ、家族にとけこみ始めた梨奈。皆に「梨奈がいて助かる」と言われ、涙をこぼす。そんな梨奈を温かく見守る家族。
■開き直った嶋田は、爆撃を止めるため、教官に銃を突きつけた。
嶋田「切り札は取っておくもんだ。」
教官「…本当に、お前まで俺を裏切るのか?」
□「実は昔、あたしもうつ病だったの」と話し始める早苗。そして農家の長男、孝司の昔話へ。
■嶋田は、控えていた隊員に撃たれ、倒れた。
「これでもう、誰にも止められんな」…自分の口に銃口を向ける教官。その銃声は、嵐の音を運んできた。
□中学校で、農家のためにいじめられた孝司。母は言う、「言いたい人には言わせておくの」。孝司はそれから、家の仕事を手伝うようになったのだった。
□突然の雷雨に、イモが濡れないようにシートをかける農家の人々。一度帰った妹たちも、雨に気付いて戻ってきた。みんなで力を合わせて作業を進める。梨奈も、笑顔でその作業に混ざっていた。
■「目的、爆撃」と、突然現れたのは工藤の乗る戦闘機。そんなことにはお構いせずに、笑い合い、助け合いながら作業を続ける農家の人々を見ながら、いつしか梨奈の心は晴れやかになっていた。
一方、眼下に動く人間を認めて、引き金を引くべきか葛藤する工藤。夜の畑に、爆音が轟いた-。
□やわらかな鳥の声が響く、秋の北海道。子どもたちは、梨奈がもうすぐ研修を終えて帰ってしまうことを知る。「お母さんたちが待っているから」その言葉に、うなずく子どもたち。
□しかし、その背中に「戻ってくるから」と梨奈は言いきる。その笑顔は、つらい現実とたたかう決意を込めて輝いていた。喜んで手を振る子どもたち。そこへ、工藤の乗った戦闘機の墜落ニュースが流れてきた…。
inserted by FC2 system