「今の教育ってあの頃と似てる気がするよね…」
オムニバス学校U
第8作 作/橋田志乃舞ボク達まだ×2捨てたもんぢゃナイ。
上演:1997年9月27日(土)〜28日(日)
会場:こどもの劇場やまびこ座
ごあいさつ
神戸の淳くん事件で、少年Aと同世代の人たちが「殺すのは許せないけど、学校への不満はなんだか分かる」と言うのを多く耳にしました。「学校が悪いんだ」「家庭の問題だ」と大人は言います。少年法が悪いという人は「あくまで少年A個人の責任だ」と声を荒げます。でも、彼がなぜ事件を起こしたか、本当の気持ちは誰も知ることはできません。今の学校は、いじめ・自殺・登校拒否など問題が山積みですが、どれも学校や親や社会に対するSOSに思えてならないのです。
「オムニバス学校U」は戦争をめぐる、みっつの物語です。自分の本当の気持ちを言うのを許されなかったあの時代と今の学校や社会は、びっくりするほど似ている――いえ、似せて造られているのもしれない、と、劇団一揆は考えました。
今日も基地移転、PKO派遣、ガイドライン見直しのニュースが流れています。それをただ眺めているだけでいいのかな、とふと思う日も…。
「オムニバス学校U」で社会のこと、自分のことを御一緒に見つめ直してみませんか?
演出から 野村昌弘
劇団一揆は8本目の公演を迎えることができました。あたたかく、そして厳しく見守って下さっている皆様、これからも末永くよろしくお願いします。演出として心がけていることは「舞台では、夢や希望を観た人に!」ということです。これこそ芝居をやる人間にとっての責務だと考えています。たとえ僕が仕事でしくじったとしても、彼女に去られたとしても、矢臼別に海兵隊がやってきたとしても、せめて舞台の上ではお客様に夢を売りたい!そう強く強く考えておりました!…
しかし、今回の「オムニバス学校U」はただ夢を与えるような代物ではございません。やっぱり目をそむけられない「今」を僕も、みんなも抱えている。それを共有し、立ち向かう勇気を持ち合うことこそ現実に生きてる人間にとって、一番輝かしい夢だと、僕は思うんです。「だからどうしたの?」的な芝居を創るよりは厳しい現実の中でも一筋の希望を見出せるようなそんな舞台を創り続けたいと思っています。
いや、そういう舞台になってるハズだ。
きっと、たぶん、そう、ですよねー。
日々成長していく役者や、細やかな作業をしているスタッフを見ながら僕自身が毎日感動の中で本番という日を迎えようとしているんだから。
よし、自信をもとう。どうぞ最後までごゆっくり、ピリッと辛い素敵なステージを、お楽しみ下さい。
脚本から 橋田志乃舞
昨年12月、こどもの劇場やまびこ座にて『オムニバス学校』を上演致しました時「学校をめぐるこの3つの物語は、どれもハッピーエンドではございません。しかし、いつか幸せな幕じめができるオムニバス学校Uを上演したい」とパンフレットでごあいさつしましたが、あれから半年を経てただ今から皆様にご覧頂くオムニバス学校Uは、やはりハッピーエンドではございません。だからといって私は、暗い物語が好きなわけでもないのです。明るい話が書きたい! でも、現実離れした笑いで一時楽しめる舞台よりも、現実の中で希望を見出せるような、そんな明るさがいい! そう願ってお話を考えるうちに、学校とは何か、教育ってなんだと、どんどんこみ入り、とうとう戦争時代へ突入してしまいました。ですから、なぜその時代へたどり着いたのか、是非今日の舞台をご覧になった皆様にご一緒に考えて頂けましたら、脚本を書いた私にとってはこれほどの幸せはございません。
本日はご来場頂き誠にありがとうございました。ごゆっくりご覧下さい。
ストーリー&キャスト
第1話「紙ひこうき」戦争末期。特攻隊の中尉と疎開してきた一人の少年とのたった一日の思い出。少年/橋本真美 青年/菅生宏明 下士官/中川道恵 第2話「飛べないニワトリ」第二次世界大戦中、足の悪い少女と飛べないニワトリの友情とその家族。少女/如月未歩 母/柴田英梨子 姉/中川道恵 少年A/橋場輝 少年B/木村勝美 先生/野村昌弘 ニワトリ/サトウキイチ 第3話「初恋」現代。ある男子校演劇部の合宿に突然訪れた旧日本兵の物語。生徒A/菅生宏明 生徒B/橋場輝 生徒C/野田潔 生徒D/サトウキイチ 男/木村勝美 女学生/山北エリカ(フリー) |
スタッフ
演出/野村昌弘舞台監督/橋田志乃舞
助舞台監督/サトウキイチ
照明/伊藤勝敏
音響効果/広岡誠、三上文孝
衣裳メイク/柴田英梨子、如月未歩、MaSa
小道具/橋本真美、山北エリカ、木村勝美
装置/サトウキイチ、野田潔、橋場輝
制作/富堂保則、松岡享、菅生宏明
美術協力/アンティーク36号線
衣裳協力/松竹衣裳